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過去に書いた小説を見つけたので、置いておこうかと
ジャンルはヴェスペリア、レイリタです
短編です

興味ある方のみ下へドウゾ































「おーいリター!おやつ出来たぞー?」

心地いい風が、フィエルティア号を吹き抜ける。
甲板の隅に座り込み、本を読みふけるリタに、ユーリは大声で呼びかける。
一行は無事3体の始祖の霊長を精霊に転生させることに成功し、最後の1対であるフェローに精霊への転生を頼むため、彼の棲む岩場へ向かうところだった。
その道中に、小腹が空いたとカロルが騒ぎ出したため、休憩がてらおやつタイムをとることにしたのだった。

「また本に夢中になってるな・・・。飯はともかく、甘いもののときは多少なり反応返してくるのに」
そんなに面白いのかね、と一人で呟きながら、ユーリは全員分のおやつを作り終えてぐったりと倒れているレイヴンにリタの分のクレープを差し出す。
とたんにレイヴンの顔が歪む。もう甘いものは見たくない、と言いたげな顔だ。
「・・・何よ、青年。まさかおっさんにこれ食えっての?」
「ちげーよ。これ、リタにもってってやってくんねぇか?甘いもんならあいつ、受け取らないって事はなさそうだから」
「やぁーよ、青年が行けばいいでしょー。おっさんは今忙しいのよ」
「ただぶっ倒れてるだけだろうが。別に食えって言ってんじゃないんだから良いだろ、ほら」
鼻先に突きつけられ、甘ったるい匂いに何かがこみ上げてきそうになる。なんとかその感覚を耐えてふらふらと立ち上がると、いい笑顔を浮かべた青年からクレープをしぶしぶ受け取り、ぶつぶつ文句を言いながら本を読みふける少女の元へ向かった。

「リタっちー、おやつの宅配でーすよー」

そう呼びかけてみるが、まったく反応を示さない。よほど没頭しているのだろう、ぶつぶつと何かを呟きながら夢中で字の羅列を目で追っている。
何がそんなに面白いのだろう、と、レイブンが本を覗き込んだとき、影に気付いたリタが顔を上げて、間近にあったレイヴンの顔に驚いて悲鳴を上げた。
「ひゃあああ?!な、ちょ、おっさん?!何してんのよ何か用?!?!!」
「何って、おやつの宅配を青年に頼まれたからさぁ。リタっち呼んでも全然気付かなかったから」
「あ、そ、そう、じゃあそこらへんに置いといてくれる、後で食べるから」
そう言いつつ、また本に向き直る少女の顔は赤かった。
多分、さっき動揺したのをごまかそうとしているんだろう。この少女はどうも、自分が動揺したり、嬉しいことをされて顔に出そうになったりすると、それを隠そうとする癖がある。
だから余計に弄ってやりたくなり、ちょっかいをかけてしまうのだが。
「リタっち、さっきから何読んでんの?」
どれどれ・・・と本を覗き込むと、ふっとリタの気配が硬くなった。
「も、もういいから!!おっさんはあっち行ってて、邪魔!!」
そう言って、ふいっとそっぽ向いてしまう。
苦笑いを浮かべ、はいはい、といいながら戻ろうとしたとき。
「あと!その、変な呼び方、そろそろやめてよね」
「うん?変な呼び方・・・って?」
「その・・・ほら、あれよ、さっきの、リタっちって奴よ。」
「えー、じゃあなんて呼びゃあいいのよ?天才魔導少女?リタぽんとか・・・りっちゃんとか?」
「あのねぇ・・・。あんたの中に普通って選択肢はないわけ?!」
次々にあだ名を考え出すレイヴンに冷たい目線を投げかけつつ、鋭いツッコミを入れる。
「普通でいいのよ、普通で。別にあだ名なんて必要ないでしょ」
「えー、だって、呼び捨てだとリタッチ怒るしー、おっさんの柄じゃないって言うかー・・・ってか、リタっちだって嫌がってたじゃないよ、おっさんに呼び捨て去れたら気持ち悪いーってさぁ」
そう、最初はリタの方から言ってきたことだった。だから、呼びやすいあだ名を適当に考えて使っていたのだが・・・。
それを言うと、リタも思い当たる節があるようで、困ったように視線を泳がせると、はっと気付いてそれを隠すように咳払いしながら本に目を落とした。あくまでも、焦ってません、と言うポーズをとりながら。
「・・・べ、べつに、もういいわよ。そのくらい、許してやるわよ」
「・・・ふーん・・・?」
この少女がそんなことを言うなんて、正直レイヴンにとっては予想外のことだった。いつも自分に辛らつな言葉、仕打ちを仕掛けてくるこの少女に嫌われはしても、好かれているなんてことはまずないと思っていたから。
だが、リタは確かに今、レイヴンを認めたのだ。例えそれが無自覚だとしても。
その事実が、何故だか妙に嬉しかった。なんというか、なかなか懐かなかった気位の高いネコが、自分から擦り寄ってきてくれたときの感動に似ていた。

レイヴンは、ちらりとリタの顔を盗み見る。自分が何を言ったか、自覚はあるようだ。顔がタコのように真っ赤になっている。
なぜだろう、この少女がこんな顔を見せると、無性にちょっかいをかけて、もっと困らせてやりたいと思うのは。
レイヴンはにやっと笑うと、必死に本に集中しようとしているリタの耳元で、何事かをささやいた。
そのとたん、リタの顔が一瞬で、今までにないくらい真っ赤になった。
何か言いたいのに、声が出てこないのだろう、金魚のように口をパクパクさせている。
「あらー?どしたのリタっち、顔真っ赤っかよー?おっさんが熱測ってやろっか?」
その反応に満足し、ニヤニヤ笑いを浮かべるレイヴン。そこで初めてからかわれた事に気付き、さらにリタの顔が真っ赤になった。ただし、さっきとはこもった感情が明らかに違っていたが。
「おっさん・・・あたしをからかったわね・・・?!あたしは他人にコケにされるのが大っ嫌いなのよ!!!!」
勢いよく立ち上がったリタの足元には、火の属性を現す術式が赤い光を帯びて浮かび上がっている。
「あちゃ、やりすぎた!!待て待て待て!!話せば分かるって、な?!」
不穏な空気を感じ取り慌ててそう叫んだが、時すでに遅し。レイヴンの弁解に聞く耳など持つはずもなく、リタは鋭い眼光をレイヴンに投げつけた。
「あーもーやかましいーーー!!!ふっ飛べぇぇぇ!!!!!」
そう叫ぶが早いか、特大の火の玉が3発、猛スピードでレイヴンを襲った。
「ぎゃああああああああああ!!!!!!!!」
さすが天才魔導少女、いくら低級魔術でも、威力は折り紙付。
間一髪のところで直撃をかわしたが、本気で当たっていたら危なかった。
「ひー、危機一髪・・・」
「まだ生きてたかぁぁぁ!!!」
「えええ?!ちょ、勘弁してよ!!!!!」
そう、この少女はこういう性格。一度自分の敵とみなしたが最後、息の根を止めるまで追いかけてくるだろう。
「ちょ、ま、ごめんなさい!!!もうしませんから!!ね?!ね??!!」
般若の形相で今にもファイアーボールをぶっ放しそうになっている少女に、必死に哀願する。今度あの攻撃を喰らったら命はない・・・!!
と、本気で顔面蒼白になっていたとき。

「リタ、ダメです!!!」

あぁ・・・天使だ、天使が降臨された・・・!!
他のメンバーが、見かねて助け舟を出しに来てくれていた。
声を上げたのはエステルだった。その制止の声に、リタの表情が和らぐ。何故だか分からないが、リタはエステルのこととなると過保護なくらい心配し、彼女の言うことなら、比較的素直に受け入れる。
そのエステルの制止となれば、リタも聞かないわけには行かなかったのだろう。術式も、もうすっかり収まっていた。
「仲間同士で争ったりしちゃダメです!!ほら、せっかくレイヴンが作ってくれたクレープが乾いちゃうじゃないですか。おいしいですよ、向こうで一緒に食べましょう?ね?」
「え、あ・・・うん」
リタはまだふに落ちない顔をしていたが、問答無用でエステルに引っ張っていかれた。本当、エステルにだけは素直だ。

「ったくリタの奴、この船破壊する気かよ。とんだ災難だったな、おっさん」
座り込んで、やれやれ、と項垂れていたレイヴンの横に、いつの間にかユーリが立っていた。心なしか楽しそうに自分を見下ろす青年に不満げな表情を向けると、よっこらせっと立ち上がる。
「まったくよ、どっかの誰かさんが天才魔導少女にクレープもってけなんていうから」
「俺のせいかよ。で?どうやって怒らせたんだ?いつもより威力2割増だったぜ」
「べーっつにぃ。ただ名前、呼んだだけだわよ」
「は?それだけで?」
「そ、それだけ。」
そう言い終えると、ふに落ちない顔をした青年に手をひらひらとふって見せる。


そう。ただ、名前を呼んだだけ。
耳元で、ご要望の通りに。

 

「リタ」

 

その一言で、あの反応。
悪い気はしなかった。言っておくが、けして自分はロリコンではない、むしろ好みは経験豊富な熟女タイプ。
だが、何故だかリタだけは別格だった。

「ホント、柄じゃないねぇ」

柔らかな風に吹かれて、一人ごちる。
年齢の差とか、体裁とか、その他いろいろあるけれど。
でも一番困るのは、きっと彼女の方だろう。彼女はまだ気付いていないはず、あの赤くなったときのあの気持ちが何であるかを。
それなら俺も、なんだかくすぐったい、でも悪い気はしないこの感じのことは、当分気付かないことにしておこう。そう思いながら、自分が作ったクレープを美味しそうに頬張る仲間たちの方へ歩いていった。

 

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ヴェスペリアのノマカプでは一番好きな二人なのです
年齢差?そんなもん関係ないさぁ!!!←
何時かエクシリアでも何か書きたいですねww












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